Vol.2 加速するCMS開発

ヒートアップするマーケットで
老舗ミラーメーカー市光はCMSにどう取り込むのか?

私達市光は、自動車用ランプとミラーの専門メーカーとして100年以上の歴史ある企業。しかもヘッドランプ・リアコンビネーションランプとミラーの両方を生産しているメーカーは国内では唯一の存在でもあります。そんな中、今年6月、従来の光学式ミラーに替わりカメラやモニターを使ったCMSが国内外で車両搭載可能となりました。これは今後のミラー業界全体にとっては非常に大きな変化点です。既に市光の開発本部でも、CMSの研究開発は始まっており、私達市光もミラーメーカーとしてこれらの変化に充分追従できる体制を構築しようとしています。そんなCMSの開発状況に関して、開発課のお二人にお話をうかがいました。

CMS:カメラモニターシステム(Camera monitor system:以下CMS)

LED仕様
ハロゲン仕様

CMSの開発状況に関して、開発課のお二人にお話をうかがいました。

2011年頃から始まるCMSの開発。

市光のCMSの開発は、実質的には2011年頃から始めていました。元々は現行のミラーの付加価値を高めるために何ができるかを模索している段階で、私達が最初に着手したのは、マルチファンクションシステムと呼ばれるもので、これは一つの広角カメラで、広い範囲を映し出し、その中から必要な映像をトリミングや補正することで色々な機能を生み出す開発でした。そんな折り、従来からの光学式ミラーの法規が改正さると言う話が現実味を帯びてきて、光学式ミラーの置き換えとなるCMSの開発を本格的に進めることになりました。

写真の製品は、コンパチビリティを実現したカメラシステム。従来のドアミラーの取付部とカメラシステムの取付部に互換性を持たせています。

ミラーメーカーとしての永年のノウハウを打ち出す。

大手のカメラメーカーやディスプレイメーカーが、このCMS市場に参入したいと目論んでいる中で、自動車用ランプとミラーの専門メーカーとして、市光がCMSにどう関わるべきかが悩みどころでした。実際、コアの部品は市光製ではありません。そうなるとミラーメーカーとしてどんなアピールができるのか?自動車メーカーさんからも「市光の役割は何なのか?」と問われ続けていました。

ドアミラーで培った法規対応やクルマの周辺視界に対する考え方、電動格納技術等、永い歴史を持つミラーメーカーとして独自のノウハウを織り込まないと市光の価値はありません。

ドアミラーとのコンパチビリティ(compatibility:適合性、両立性、互換性)。

例えば、高級車なら全てCMSを標準装備することも考えられますが、下位モデルの車は、CMSを標準装備するのは、現実的には当面難しいと思います。同じクルマでも、低グレードは従来のミラーを使い、オプションでCMSを装着するケースも十分考えられますから、同じ車種に対して、従来のミラーとCMSの装着に関して互換性を持たせるニーズは必ずあると確信していますし,双方に対応できるのは,やはりミラーメーカーだからこそだと思います。

市光の試験車両。ドアミラーの映像を車内のどの位置で見せるのが合理的かなど、ドライバーとモニターのインターフェイスのあり方も実証実験で検証しています。

専門メーカーとしての膨大なノウハウの蓄積

例えば、ウインカーを出したり、ハンドルを切ったりしたら後方の映像が広く見えたほうがユーザーにとっては使いやすいと考えています。ミラーメーカーとして、車両メーカーやエンドユーザーからクルマの周辺視界に対する要望を頂いており、多くのユーザーの声を反映した製品開発が可能だと考えています。

国内初のスマートリアビューミラー(以下SRVM)量産開始

インナーミラーの位置はダッシュボードなどのインテリアに与える影響はなく、SRVMを搭載する時には単に部品を付け替えるだけで装着できることから、自動車メーカーさんも非常に興味を持ってくれています。

すっきりしたスマートなデザインを実現できたと思っています。

お客様からの要求は、従来品に比べかなり薄型のスマートなデザインにしたいというもので、その機能を考えるとかなり難易度の高い要求でした。ミラーフレームも極力薄く設計し、ミラーの背面から出るハーネスを覆う専用のカバーを設定するなどの結果、かなりすっきりしたデザインが実現できたと思っています。また、従来の光学式のミラーに比べるとかなり重くなるので、取り付け部分の締付トルクも従来の製品とは異なります。通常の使用でグラつかないのと同時に、女性ドライバーの手でも無理なく微調整が出来る微妙な締付トルクが要求されました。SRVMは、ミラー製品として電子モニターなどの複雑な電子部品を使う等ほぼ全てが初めての製品なので、開発体制を含め、設計と製造には大変なご苦労をおかけしました。

編集部から

CMSの法規改定は,電子メーカーにとっては追い風ですが、市光の様な従来のミラーメーカーにとってはある意味脅威かもしれません。CMSは、複数のカメラと複数のモニターを使用する為、当面はコストの面から、それほど短期間で普及するとは思えませんが、CMS全体の市場は将来確実に拡大していくでしょう。SRVMの量産は始まったばかりですが、市光はミラーメーカーとして、戦略的にCMS市場にどう切り込んでいくのかを見極める必要に迫られていると思います。