Vol.3 世界一長い120センチのハイマウント導光ストップランプ!

お客様から「デザインが一番優れていた」と評価された
市光のハイマウントストップランプ

昨年末、最新のプリウスをベースに、EV機能を持った待望の「新型プリウスPHV」が発売されました。市光としては1年前のプリウス受注に引き続き、注目のPHVのハイマウント+リアコンの受注を果たしたことになります。トヨタ自動車にとってPHVは将来のEV、FCVへの橋渡しとなるべき戦略モデル。最新のプリウスをベースにしているとは言え、ヘッドランプ、リアコンビ、その他の多くのパーツを刷新し、トヨタ自動車としてもデザイン&機能面での差別化を図ろうとしています。売り上げも好調な「新型プリウスPHV」。新年号では、注目のモデルのリア廻りランプ開発に関し中部支店に取材。4名のエンジニアに開発の経緯や苦労をうかがいました。

特徴的な形状で空力特性を向上したダブルバブルバックドアウインドゥ

注目のモデルを受注

新型プリウスPHVモデルのシンボルとも言えるテールランプといったリヤ周り。ダブルバブルバックウインドウから続くハイマウントストップランプとリヤコンビネーションランプが、サブウインドウを囲みながら赤いラインを描いています。フロントと同じく縦型のターンランプをバンパーサイドに装備することで、先進的なデザインを印象付けています。

7個のユニットを使う異例のランプ構成

左右120センチ!世界一横幅の長い導光ハイマウントストップランプを実現

この製品に関しては、お客様からも開発当初からデザイン面で、通常のハイブリッドの差別化を要求されていました。具体的には、今までに無い光り方を追求するデザインの傾向があり、私達はデザイン部の渡辺さん達と連携しながら、そのデザインを達成するために様々なアプローチを試しました。リア廻りランプは、なんと7個のパーツに分かれます。ランプの数が多いし、LEDの数も多い。特に左右幅120センチのハイマウントストップランプの設計は様々な新しい工夫が必要でした。

写真はPHVのテールゲート、量産車初と言われるカーボンファイバー製です。薄く流れるようなデザインとしたテールランプは、後部デザインの最大の特徴。後方視界を確保するために垂直にレイアウトされた後端のガラスは、上下幅が狭いのが分かります。

薄型化の様々な工夫

運転席からの後方視界を確保するための垂直ガラスは上下幅が狭いため、ガラス上部にセットされるハイマウントストップランプも必要な光源を組み込みながら極力薄く設計する必要がありました。テールゲート後端に取り付けられるハイマウントは、中央の4個のLED光源から左右に導光棒で光を拡散する仕組みで左右120センチという世界一の横幅を誇ります。

たった4つのLEDで綺麗な横幅120センチのグラデーション!

通常、均一に光らせるために導光棒にインナーレンズとしてプリズムをかぶせるのが定石ですが、今回は薄く細く見せるためプリズム無しの仕様としました。しかし、120センチの綺麗なグラデーションを実現するためには、当然プリズムの効果を光学設計の見直しなどでリカバリーすることが必要でした。

取り付け樹脂クリップ+光学設計イラスト

導光棒の固定をビス止めから独自のクリップ式に変更

通常導光棒を固定するためにビス止としますが、ビスの口径がある程度必要となり、薄くするには限界があります。試行錯誤の末、私達が到達したのは、薄くするためにビスを使わず部品と一体の樹脂クリップで10か所を固定する方法。これによって軽量化と薄型化を実現しています。

トヨタからも高効率設計を評価される

4個の光源からの光を、後方と側方に効率良く拡散するための光学設計を何度も見直し、多くの試作と検証を繰り返した結果、追加プリズムなしでスムーズな光のグラデーションを実現できたと自負しています。おかげで、お客様の調達部門から、たった4つのLEDで120センチのハイマウントを設計した効率の良さを評価され原価改善賞を受賞することができました。藤岡製造所ではPHVのために新規ラインも新設しました。今回の名誉ある受賞は開発本部だけでなくの生産、購買など各本部のご協力の賜物であると思っています。

市光初のLEDターンランプ

今回のPHVで、市光としては初となるLEDターンランプが採用されました。実は当初、ターンランプ用のmonoLEDを想定していたのですが、残念ながらこの時点でターンランプ用monoLEDの開発が完了していなかったため、通常のLEDを使っています。ちなみにリアフォグランプにはmonoLEDが使われています。

子供を見守るような眼差しで製品について説明するデザイナー
子供を見守るような眼差しで製品について説明するデザイナー

市光のデザインが一番優れていたとお客様から評価いただきました

この製品の位置づけはお客様にとっても特別で、当初からデザインも非常に重要視されていました。最初はお客様側のデザイナーからの「こういうデザインにしていきたい」という話から始まりました。受注にあたっては、営業や開発など関連部署も一体となって取り組み、市光のやる気を伝えました。最終的に「市光のデザインが一番優れていた」とお客様に言っていただけたのは嬉しかったですね。

社内のデザイナーとして、お客様の要望を開発・設計の方々に伝えるにあたっては、面倒なことや困難なことを頼んでしまうことが多いので、どこにハードルがあるのか、どうしたらそのハードルを越えられるのか、をエンジニアと一緒に解決していくようにしています。その為に、できるだけ顔を合わせてお伝えすることを心がけています。

藤岡で自分がデザインに関わった製品のラインを見ると、複雑な製品を誇りをもって組み立ててくださっている方に頭が下がるとともに、「この仕事してきてよかった!」と思います。これからも、「デザイナーと一緒に仕事をすると、いい製品ができて楽しい」と思ってもらえる仕事をしていきたいです。お客様に良い製品を提供し続けることが、お客様からの更なる信頼の獲得につながると思っています。

編集部から

近年の生産技術の進歩により、あらゆる形状の製品ができる様になったとは言え、市光としては当然機能や法規も満足しなければならないわけですから、日々これらに立ち向かうデザイナーやエンジニアの皆さんにとってきわめて難しい課題であると同時に、実現すればそれは大きな遣り甲斐につながっていくのだろう・・・と、取材中のエンジニアの皆さんの表情から読み取ることができます。ものづくりって、難しそうだけれど、楽しそうでもあるな、と思える瞬間です。